昨年6月、ジョージ・フロイド氏の死亡事件や、米国における黒人男性・女性に対する人種差別の長い歴史を受けて、私たちはゲーム業界の変革に取り組むことを約束しました。その一環として設立された「過小評価グループ起業家プログラム」では、ゲーム業界内で過小評価グループにあたる起業家への投資およびスタートアッププログラムに、1000万ドルの資金提供を行っています。 

この1年間で、私たちは支援すべき素晴らしい才能を持った起業家たちと出会いました。様々なスタートアップやプログラムに対して、これまでに500万ドル以上を提供しており、そのうちの30%以上が黒人起業家、50%以上が女性起業家へのサポートとなっています。しかし、これはほんの始まりにすぎません。

支援の拡大

このプログラムは、現地のコミュニティーで弱い立場にある開発者たち──困難な状況にある世界中の黒人や女性の開発者を支援することを目的としてスタートしました。しかし、多くの起業家たちと話をしていくうちに、もっと広い範囲でこのプログラムを展開する必要があると考えるようになりました。中南米、中東、アフリカなどの地域では、たくさんのプレイヤーが存在するにもかかわらず、デベロッパーに向けたゲーム開発プロジェクトへの資金提供が少ないのです。こうした問題を解決すべく、私たちは当初の予定である1000万ドルの出資に加えて160万ドルの追加出資を行い、世界からの関心が低い地域で活動するゲームデベロッパーへの資金援助やアドバイス、育成を行っています。

ただ、ゲーム開発を誰もが平等に行える環境を実現するには、私たちの力だけでは足りません。そこで、デベロッパーや起業家の要望を正しく理解できるよう、世界中の様々なゲーム開発スタジオと提携し、当初の予定であった1000万ドルよりも多くの資金提供を行うことにしました。それだけではなく、上記のような起業家が直面している問題についてより深く理解し、私たちと同じく「社会的に過小評価されているデベロッパーをサポートする」という目標を掲げる企業ともパートナー提携を行っています。最初にパートナーとなった組織は、女性や性的少数者などの社会的に弱い立場にある開発者をサポートしている「WINGS」です。

現在のパートナー

Twin Drums Logo

Twin Drums: このプログラムに参加した最初のデベロッパーは、ベルリンを拠点とするインディーデベロッパー「Twin Drums」です。彼らは現在、「ダンジョンズ&ドラゴンズ」にインスパイアされたアフロファンタジーのインディーMMORPG「The Wagadu Chronicles」を開発しています。私たち自身も当初は小規模なインディー企業だったことから、「社会的に弱い立場にあるプレイヤーたちに、本格的なゲーム体験を提供する」という彼らの理想と目標には深く共感できる部分があります。「The Wagadu Chronicles」の独特な世界観は非常に魅力的で、その素晴らしさについてはいくらでもお話しできますが、彼らの作品を見てもらうのが一番かもしれません。

WINGS Logo

WINGS: より多くの女性や性的少数者の開発者を支援すべく、私たちは「WINGS Fund」パートナーシップを結び、投資を行っていくことを決定しました。「WINGS」は女性が中心となって設立された組織で、インディーゲーム開発スタジオへの投資を行っています。また、「WINGS」の投資に関する判断は、優秀な女性ゲーム開発者から成る選考委員会によって行われています。「WINGS」はこれまでに200本以上のゲームを審査しており、受賞歴のある「Bloom Digital Media」の「Later Daters」、非常に期待されている「Subliminal Games」の「Button City」そして、「The Moon Pirates」の「Don’t Forget Me」を含む、8つのタイトルでサポートを行っています。

Double Loop Games

Double Loop Games: 「Double Loop」は、ゲーム全体における最大のプレイヤー層である「自分をゲーマーと思っていない人たち」に対し、気軽で楽しい体験を提供することに焦点を当てています。彼らは協力型マルチプレイのようにソーシャルな側面を押し出した、気軽に遊べるパズルゲームの制作を行っています。どのような作品に仕上がるのかとても楽しみですし、共同設立者のEmily Greer氏の持つ、ゲーム業界に女性の数を増やしたいという情熱にも共感しています。企業自体も、「Kongregate」や「WB」、「Zynga」、「Blizzard」などで活躍した、経験豊かな女性主導のモバイルチームで構成されています。

Carry1st Logo

Carry1st: 「Carry1st」は、シエラレオネ出身のCordel Robbin-Coker氏が設立した、南アフリカのモバイルゲームパブリッシャーです。彼らは、現在の分断されたエコシステムを統合し、アフリカ大陸における配信システムの構築を目指しています。南アフリカのケープタウンに本社を置く「Carry1st」は、ヨーロッパ全土に社員がおり、世界中のゲームをアフリカに届けるべく活動しています。

The Last Gameboard Logo

The Last Gameboard: 「The Last Gameboard」は、実際に手で触れられる物とデジタルなゲームプレイを融合させ、プレイヤー同士の交流を深めてコミュニティーを構築するという、世界初の卓上ゲームプラットフォームを開発しています。その最初の製品である、美しく整えられた16インチ四方の卓上ゲームボードは、画面上での動きを立体的に検知する技術やネットワーク機能が備わっており、まったく新しいゲーム体験を提供してくれます。「The Last Gameboard」は、ボードゲームに対するプレイヤーの情熱と、真の没入感のあるデジタル体験を結びつける強力な架け橋になるでしょう。「The Last Gameboard」を私たちのキャンペーンで使用できる日をとても楽しみにしています。

今後の活動

直接的な資金提供だけでなく、アドバイスや交流を通じて過小評価グループの起業家への支援を行い、様々なデベロッパーやパブリッシャーとの繋がりを持てるようにしていきたいと考えています。また支援者として、ゲーム開発への構造的なアプローチの導入や、マーケティング、法律面での支援など、私たちが経験を積んできた分野での教育や実践的なサポートを提供していきます。私たちの目標は、才能ある起業家や開発者たちを、ゲームコミュニティー全体、また彼らの情熱や考えに共感する他のデベロッパーたちと結びつけることです。

私たちは今後も、優れたゲームを開発する力がありながら、社会的に弱い立場にある起業家たちを支援していきたいと思っています。また、パートナーがゲーム業界で活躍するために必要な資金と能力を確保できるよう、私たちの資金やゲームの開発、販売に関する専門知識を引き続き活用していくつもりです。ぜひ、今後の活動にもご注目ください!